CBAMとEUDR、何が違うか――混同されやすい2つのEU規制を整理する
CBAMとEUDRは共にEUが推進する環境規制ですが、目的も適用範囲も異なります。この記事では、それぞれの概要と決定的な違いを解説します。
CBAMとEUDRは、EUが発行する環境規制で、持続可能な地球環境の実現を目指しています。これらの規制は適用範囲や目的が異なり、企業に与える影響も多岐にわたります。本記事では、具体的な対応策を含め、これらの規制の違いを詳しく解説します。
CBAMとは何か
CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)は、EUが2023年に導入した炭素国境調整メカニズムです。この制度は、EU域外からの輸入品に対して炭素排出量に応じた課税を行うことで、EU内の産業が直面する不公平な競争を防ぎ、脱炭素化を促進することを目的としています。具体的には、鉄鋼やセメント、自動車部品、機械、家電、金属製品などが対象です。
EUDRとは何か
EUDR(EU Deforestation Regulation)は、EUが2023年に森林破壊を防止するために導入した規制です。この規制は、特定の農産物や木材製品が森林破壊に寄与していないことを証明することを求め、持続可能な供給チェーンの確立を目指しています。対象となるのは、大豆、パーム油、牛肉、木材製品などです。
決定的な違い
CBAMとEUDRの最大の違いは、焦点を当てる環境問題です。CBAMは炭素排出量を抑制することを目的とし、輸入品に課税することでEU内の競争条件を平等に保ちます。一方、EUDRは森林破壊を抑制することを目的としており、製品の供給チェーンが持続可能であることを要求します。具体的な例として、CBAMは鉄鋼製品の炭素税を課しますが、EUDRは大豆が森林破壊に関与していないことを確認します。
実務上どちらを気にすべきか
企業がどちらの規制を重視すべきかは、取り扱う製品や業種に依存します。製造業であればCBAMの影響を受ける可能性が高く、農業や食品業界であればEUDRが重要となります。例えば、トヨタ自動車やパナソニックはCBAMへの対応が求められます。一方で、ネスレやユニリーバはEUDRへの対応が重要です。ESG担当者は、自社のビジネスモデルに応じて対応が必要です。
まとめ
CBAMは炭素排出の抑制を、EUDRは森林破壊の防止を目的としています。企業は自社の業種に応じて、どちらの規制がより影響を及ぼすかを確認し、それに基づき対策を講じる必要があります。具体的なステップとしては、炭素排出量の測定、サプライチェーンの透明性向上、環境基準の遵守が挙げられます。
参照資料
- 欧州連合, Carbon Border Adjustment Mechanism(2023)
- 欧州連合, EU Deforestation Regulation(2023)