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バイオ素材の認証マークは何を証明しているのか——持続可能性の証明と混同しない

バイオマスマーク、マスバランス方式、エコマーク——バイオ素材の認証制度は複数あり、それぞれ証明している対象が異なります。認証があることを、環境負荷が低いことや持続可能性の証明とそのまま同一視しない読み方を整理します。

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製品タグと認証スタンプを組み合わせたイメージ

「バイオマスマーク」「マスバランス方式」「エコマーク」——バイオベース素材には複数の認証・表示制度があります。しかし認証があることを、そのまま「環境に良い」「持続可能である」という証明として受け取るのは早計です。認証ごとに何を証明し、何を証明していないのかを区別する必要があります。

バイオマスマーク——何を証明しているか

バイオマスマークは、一般社団法人日本有機資源協会(JORA)が運用する制度で、乾燥重量ベースで10%以上のバイオマスを配合し、関連する法令・規格・基準に適合した製品に付与されます。証明しているのは「その製品に一定割合以上のバイオマス原料が使われていること」であり、環境負荷の大小や、原料の調達過程が持続可能かどうかまでは証明していません。

マスバランス方式——物理的な含有と会計上の割り当ての違い

近年、プラスチック製品にバイオマス由来の性質を割り当てる「マスバランス方式」という手法が広がっています。これは、原料の投入量と製品の生産量を管理し、実際に使用したバイオマス原料の量に応じて、製品にバイオマス由来の性質を会計上割り当てる方式です。

ここで注意が必要なのは、マスバランス方式で「バイオマス由来」と表示された個々の製品が、物理的にバイオマス原料そのものを含んでいるとは限らないという点です。工場全体でのバイオマス原料と化石由来原料の投入比率に応じて、一部の製品にバイオマス由来の性質が割り当てられる仕組みであり、実際に日本環境協会のエコマークも、マスバランス方式による「バイオマス由来特性を割り当てたプラスチックを使用した容器包装」を認定対象に加えています。「認証がある=その製品そのものに植物由来の原料が入っている」と単純に理解すると、この会計上の割り当てという性質を見落とすことになります。

生分解性・堆肥化可能の認証は別制度

バイオ由来・生分解性・堆肥化可能は別の概念である通り、バイオマス含有量を証明する認証と、生分解性・堆肥化可能性を証明する認証は別の制度です。日本バイオプラスチック協会(JBPA)は、バイオマス由来プラスチックに「バイオマスプラマーク」(バイオマスプラスチックを25.0重量%以上使用等の基準を満たす製品が対象)、生分解性プラスチックに「生分解性プラマーク」という別々のマークを運用しています。生分解性プラマークは、2021年まで「グリーンプラマーク」という名称でしたが、「グリーン」という言葉から植物由来(バイオマス由来)だと誤解する消費者が多かったことを理由に改称されました。この改称の経緯自体が、バイオマス由来と生分解性を混同しやすいことを示しています。バイオマス由来度を示す指標としては、国際規格ISO16620シリーズが「バイオベース合成ポリマー」「バイオベース含有率」といった算定方法を定めています。ある製品がバイオマスプラマークを取得していても、それだけでは生分解性を保証したことにはなりません。

認証の対象範囲・除外事項を確認する

認証を確認する際は、何が認証の対象範囲に含まれ、何が除外されているかを確認する必要があります。バイオマスマークは原料の配合比率のみを対象とし、製造工程でのエネルギー使用量や、原料の調達地における森林伐採・土地利用変化の有無までは審査対象に含みません。「認証を取得している」という事実は、その認証制度が実際に審査した範囲についてのみ意味を持ち、審査範囲外の事項については何も証明していません。

認証は持続可能性そのものの証明ではない

ここまで見てきた通り、バイオ素材の各種認証は、バイオマス含有率・生分解性・堆肥化可能性といった、それぞれ限定された特性を証明する制度です。原料調達における生物多様性への影響、労働環境、ライフサイクル全体での環境負荷といった、より広い意味での「持続可能性」を包括的に証明する制度ではありません。認証マークがついていることを理由に、その製品の環境価値を無条件に高く評価することは、認証が実際に保証している範囲を超えた解釈です。同様に、LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づく環境負荷の数字も、算定の前提次第で結果が変わります(LCAの主張、何を確認すればよいか)。

まとめ

バイオ素材の認証制度は、バイオマス含有率(バイオマスマーク)、会計上の割り当て(マスバランス方式)、生分解性・堆肥化可能性(生分解性プラマーク等)という、それぞれ異なる限定的な特性を証明する制度です。認証があることを、そのまま持続可能性や環境負荷の低さの証明として扱わず、その認証が何を対象とし何を対象外としているかを確認する必要があります。

参照資料

  • 一般社団法人日本有機資源協会(JORA).「バイオマスマークとは」. jora.jp
  • 公益財団法人日本環境協会エコマーク事務局.「マスバランス方式による『バイオマス由来特性を割り当てたプラスチックを使用した容器包装』で初のエコマーク認定」. ecomark.jp
  • 一般社団法人日本バイオプラスチック協会(JBPA).「識別表示制度」. jbpaweb.net

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