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資源・循環

日本のE10は義務なのか、目標なのか。バイオエタノールは誰がどこから調達するのか

「E10」は、ガソリンにバイオエタノールを最大10%混ぜる燃料です。日本では、石油精製事業者への年間の利用義務と、E10の供給開始という目標は別のものです。調達の最新の内訳は公表資料から確認できておらず、国産原料への支援は検討の段階です。

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バイオエタノールとE10混合燃料

「日本はE10を義務にするのか」という疑問には、「義務」と「目標」が二つ混ざっています。日本には、すでにバイオエタノールの利用義務があります。ただし、それはE10の義務とは別の制度で、E10そのものは、確認できた範囲では義務ではなく目標です。この記事では、何が義務で何が目標なのかを分け、調達が誰の手に委ねられているかを確認します。

すでにある義務と、これからの目標

義務があるのは、石油精製事業者です。 経済産業省の資料によると、エネルギー供給構造高度化法(エネルギー事業者に、非化石エネルギーの利用などを求める法律)にもとづく告示で、特定の石油精製事業者に、バイオエタノールを原油換算で年間50万キロリットル利用することが義務づけられています。対象は、前年度のガソリン製造・供給量が一定以上の事業者で、石油元売5社が該当すると説明されています。これは、事業者に課された量の義務です。bioeconomy.jpの整理では、ガソリンの混合濃度を決めるE10の供給とは別の制度です。

E10は、基本計画上は、義務ではなく政策の目標として示されています。 資源エネルギー庁は、2030年度までに、一部地域での直接混合も含めたバイオエタノールの導入拡大を通じて、最大濃度10%の低炭素ガソリンの供給開始を目指すとしています。2040年度からは、対応車両の普及状況などを見極めながら、最大20%(E20)の供給開始を追求する方針です。E20については、認証制度の議論を始め、2030年代のできるだけ早期に、乗用車の新車販売でE20対応車を100%にすることも目指すとされています。これらの目標は、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画に位置づけられています。「目指す」「追求する」と書かれていて、法令上の義務ではありません。また、「全国のガソリンがE10になる」という書き方ではなく、「供給開始」を目指す、という表現です。

先行導入の計画もあります。2025年6月10日、脱炭素燃料政策小委員会で、バイオエタノール導入拡大のアクションプランが策定されました。2025年11月には、2028年度を目途に沖縄県でE10を先行導入することが決定されたと、資源エネルギー庁のページに書かれています。

バイオエタノールは、どこから来ているのか

資源エネルギー庁の解説記事(2025年7月)によると、バイオエタノールの普及が進んでいる国の多くは国内で生産できる国で、日本は、主にコスト面の課題から国産化が進んでいません。同じ解説は、導入拡大にあたってのバイオエタノールの調達は「主に輸入に頼ることになる」と説明し、安定して調達するサプライチェーンの構築と、世界的な需要拡大による調達コストの増加への対応を、課題の一つに挙げています。

制度の経緯を見ると、2018年に定められた告示(2018〜2022年度)で、従来はブラジル産が対象だったところに、米国産も対象に加えられました。2019年には、米国産トウモロコシ由来のエタノールから作った添加剤(ETBE)の最初の出荷が日本に着いたと報じられています。資源エネルギー庁の解説によると、日本では、水分離や部材の腐食といった技術的な課題があるため、既存のインフラをそのまま使えるように、バイオエタノールを直接ガソリンに混ぜず、ETBEという添加剤に加工して混合しています。

現在の調達先ごとの量や割合は、今回確認できた公的資料にはありませんでした。 古い統計や報道はありますが、現行の告示のもとでの最新の内訳は、確認できていません。過去にブラジル産と米国産が対象になったことは確認できますが、どの程度の量が、誰によって、どの価格で調達されているかは、まだ判断できません。

2026年の動き:国産原料への支援の検討

2026年5月の報道によると、経済産業省は、国産原料を使ったバイオエタノールの普及を支援する制度を検討しています。輸入原料との価格差が普及の妨げにならないよう、予算措置を含めて検討する、という内容です。この分野は、政府が定める17の戦略分野の一つにも位置づけられていると報じられています。

同じ報道は、E10・E20の目標を定めた基本計画が、国産原料の使用量までは掲げていないことも伝えています。国産の例としては、福島県大熊町の研究組合が、食用ではない植物のソルガムからバイオエタノールを作っていると紹介されています(2025年2月から)。経済産業省の副大臣は、中東情勢を踏まえると、国産資源を使ったバイオエタノールなどのバイオものづくりに大きな可能性があると述べたとされています(政府側の見方です)。

ここで区別しておきたいのは、次の3つです。

  • 決まっていること: 石油精製事業者への年間利用義務(導入拡大の調達は、主に輸入に頼ることになると、資源エネルギー庁が説明している)
  • 目標として示されていること: 2030年度までのE10供給開始、2040年度からのE20
  • 検討の段階にあること: 国産原料を使うバイオエタノールへの支援。量や価格差の支援の仕組みは、今回確認できた範囲では、決まっていません。

まとめ

E10の供給開始は、義務ではなく、第7次エネルギー基本計画に書かれた目標です。義務があるのは、石油精製事業者に課された、年間の利用量(原油換算50万キロリットル)です。調達は主に輸入に頼ることになると、資源エネルギー庁も説明していますが、現在の調達先ごとの量や割合は、確認できた範囲では分かりません。国産原料への支援は、2026年5月時点では検討の段階です。

次に確認したいのは、国産原料を使うバイオエタノールの支援が制度として決まるか、2028年度の先行導入が計画どおり始まるか、そして調達の内訳が公表されるかです。原料をめぐる競合の実例は捨てるはずだった油が、新品の油より2倍以上高い、バイオ燃料の種類の違いはバイオ燃料とe-fuel、何が違うかで扱っています。

参照資料

  • 資源エネルギー庁「次世代燃料(バイオ燃料、合成燃料)政策について」(E10・E20の目標、アクションプラン、沖縄での先行導入の決定の記述。2026年8月10日最終更新). enecho.meti.go.jp
  • 資源エネルギー庁「ガソリンのカーボンニュートラル移行に欠かせない「バイオエタノール」とは?」(エネこれ、2025年7月16日。義務量、ETBE、国産化が進まない理由、調達の課題の記述). enecho.meti.go.jp
  • 「経産省、国産バイオマス由来のバイオエタノール普及へ支援策を検討」(2026年5月7日付の日刊自動車新聞の記事を転載したページ。国産原料への支援の検討の出典). aba-j.or.jp
  • Quantum Commodity Intelligence「Japan set to begin E10 pilot in Okinawa in FY 2028: METI」(2025年11月。沖縄での先行導入の報道). qcintel.com
  • Biofuels Digest「USGC’s trade mission pays off with first shipment of ETBE made with U.S. ethanol arrives in Japan」(2019年。米国産エタノール由来のETBEの初出荷の報道). biofuelsdigest.com

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